HIV感染の予防

国内のエイズウイルス(HIV)新規感染者数は、毎年1千人を超え、とくに同性間の性的接触が感染経路の約7割を占めています。本人が感染に気づいていなかったり、薬をきちんとのまなかったりすると、ウイルス量が減らず、性的接触で感染を広げてしまいます。一方が感染者、相手が非感染者のカップルを対象とした臨床研究から、治療薬により血液中のウイルス量が長年検出限界以下に抑えられている場合、パートナーにうつす危険はほぼないことが分かってきています。
HIVの治療目的の薬を予防に使い、HIVの感染を抑え込む取り組みが海外で広がってきています。2015年の世界保健機関(WHO)のガイドラインでは、HIVに感染する危険が高い人には、暴露前予防投薬(PrEP)を強く推奨しています。日本では、ツルバダは治療薬として承認されていますが、予防薬としては未承認です。予防だと保険がきかないので、1錠約3,900円を毎日のむと月々11万~12万円の自費負担となってしまいます。高止まりしている新規感染者を減らすには、現実的に続けられる費用でPrEPが受けられるようにする対策が必要です。

 

(2018年4月25日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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