積極的接種勧奨再開の目途が立たない状況にある中、国の動きを待てないとばかりに接種勧奨を求める声が関連団体から上がっています。自治体独自の情報提供と告知をすすめる地域も現れ始めています。ワクチンの積極的勧奨停止によって、接種を受けられない、あるいは有料になると誤解している人が、一般の国民だけではなく医療関係者の中にも多くみられます。自治体職員の中にも、保護者がワクチン接種の手続きを質問すると、「そんな危険なワクチンを打つのですか?お考え直された方がいいですよ。」と答える人がいるそうです。医療関係者中でも、現在も対象年齢の女子が定期接種を無料で受けられることを知らない人もいます。
国の動きを待てず、自ら接種に関する情報提供と通知を行う自治体も現れ始めています。わが国では現在新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大が大きな問題となっていますが、幸いなことに死亡者は現れていません。しかし、今もなお、毎年2,800名もの女性が子宮頸がんで死亡されています。こちらも重大な出来事として認識することが大切です。国としてはHPVワクチンの積極的勧奨再開を打ち出すことが難しい状況にありますが、地方自治体から勧奨再開の動きが出てきたことは注目に値します。
(家族と健康 第791号2020.2.1)
(吉村 やすのり)