厚生労働省の専門部会は、子宮頸がんの原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)感染を防ぐワクチンについて、8年以上中止していた積極的な接種勧奨を再開することを了承しています。来年度にも再開させたい考えです。HPVワクチンは、2013年4月に小学6年~高校1年の女子を対象に、公費による定期接種となりました。しかし、接種後の体の痛みなどの報告が相次ぎ、国は同年6月、定期接種の位置づけは変えず、個別にはがきなどで接種を呼びかける積極的勧奨を中止していました。
この間、世界各国から子宮頸がん予防に対するHPVワクチン有効性についてのエビデンスが蓄積され、過去2~3年に国内で副反応が疑われる報告の割合は0.5%未満であり、専門部会は勧奨を差し控える状態を終了させるのは妥当と判断しました。今後は、積極的勧奨を差し控えた結果、定期接種を受けることができなかったキャッチアップ世代に対する救済措置やHPVによる中咽頭がんに対する男性への定期接種の対応を考えていかなければなりません。また、本人や保護者向けリーフレットを最新のエビデンスを踏まえた内容に更新し、現状で定期接種の対象に含まれていない9価ワクチンについて情報を提供することが大切になります。
(2021年11月13日 産経新聞)
(吉村 やすのり)