慶應大学医学部の研究グループは、心臓の筋肉になる心筋細胞をiPS細胞から高純度でつくる方法を開発しました。重い心不全の患者の治療を目指して、来年にも再生医療の安全性を調べる学内の委員会に、臨床研究の申請をするとのことです。
計画では、人のiPS細胞から心筋細胞を作って大量に培養します。手術で心臓の心筋内に心筋細胞が約1千個集まった直径150µmの塊を多数注射して移植します。その際、様々な細胞になる可能性を持つ幹細胞が混じっていると、がん化するリスクがあるので、細胞に栄養を与える培養液の成分を工夫し、心筋細胞だけ残すようにしています。心不全に対する再生医療をめぐっては、大阪大学のチームもiPS細胞から作ったシート状の心筋細胞を心臓に貼る研究をしており、臨床応用に向けた準備を進めています。
(2016年4月1日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)