iPS細胞から作製した免疫細胞の一種である樹状細胞を使い、がん細胞だけを攻撃する手法が開発されました。がん患者のiPS細胞から作った樹状細胞は、健常な人の樹状細胞と同様の高い免疫機能を持っています。ヒトのiPS細胞から作製した樹状細胞を、試験管内で胃がんや大腸がんの細胞と混ぜたところ、1~3割のがん細胞が消失しました。
樹状細胞を利用する免疫療法は既にありますが、iPS細胞を使うことで高い破壊力が期待でき、新たな療法として期待されます。iPS細胞は一度採血するだけで作製でき、治療に必要な分量の樹状細胞も作り出せるため、患者の体の負担が少ない利点もあります。
(2018年3月27日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)