iPS細胞から腎組織作成

京都大学などのチームが、ヒトのiPS細胞から腎臓の組織をつくってマウスに移植し、体内で血管とつなげることに成功したと発表しています。透析患者が増え、腎移植のドナーも足りない中、腎臓が正常に働かなくなる腎不全に対する治療法と期待されます。
二つある腎臓は血液を濾過して尿をつくり、体内から老廃物を出す役割があります。腎臓には、毛細血管の塊である糸球体と、必要な成分を吸収する尿細管がつながったネフロンという組織が計約200万個あり、濾過された液体は集合管を通って尿となります。チームは、胎児に腎臓ができる過程を再現して培養することで、ヒトのiPS細胞から、ネフロンになる細胞と、集合管になる細胞をそれぞれつくることに成功しました。2種類の細胞を合わせると、ネフロンと集合管がつながった組織ができました。この組織を、免疫をもたず拒絶反応が起きないマウスの腎臓周辺に移植したところ、マウスの血管とつながり、血液が流れることが確かめられています。

(2020年4月8日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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