筋ジストロフィ-は筋肉が萎縮する難病です。症状が進むと骨格筋に加えて心筋や横隔膜の筋肉も衰え、心不全や呼吸不全で命を落とす恐れがあります。国内の患者は3万人弱で、重症のデュシェンヌ型筋ジストロフィ-は、以前と比べて良好な管理がなされ、長期生存例も見られるようになってきましたが、30歳代で亡くなることも少なくありません。
京都大と国立精神・神経医療研究センタ-は、ヒトのiPS細胞を使って筋肉の難病である筋ジストロフィ-を治療する技術を相次ぎ開発しています。iPS細胞から製作した筋肉の細胞を病気のマウスに移植し、筋肉の働きを回復する効果を確かめています。幹細胞が病気で衰えた筋繊維と融合し再生したと考えられています。幹細胞の作製でウイルスを使わないため、がん化のリスクもないとされています。根本的な治療法がない筋ジストロフィ-の治療につながると考えられ、今後は早期の臨床研究を目指すことになります。
(2015年3月19日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)