iPS細胞によるがん免疫療法

人のiPS細胞から大量の免疫細胞を作り、がんをたたく新しい治療法が注目を集めています。理化学研究所と千葉大学のチームは年内にも臨床試験を始める予定です。健康な人のナチュラルキラーT(NKT)細胞を、いったんiPS細胞にして増やした後、再びNKT細胞に戻す方法を開発しています。iPS細胞からNKT細胞を大量に作り、繰り返し投与できれば、治療効果も高まります。
京都大学ウイルス・再生医科学研究所のチームは、ウイルスや細菌に感染した細胞を殺すT細胞のなかでもひときわがん攻撃力が高いキラーT細胞を、iPS細胞から作る方法を開発しています。この細胞を白血病マウスに投与すると、一部のマウスは5か月以上も生き延びました。投与しなかったマウスが約2か月ですべて死んだのに比べ、明確な治療効果があったとしています。白血病の患者を対象に、京都大学で備蓄する他人由来のiPS細胞を使った治験を、2022年にも行う計画です。

(2019年2月24日 読売新聞)
(吉村 やすのり)

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