iPS細胞によるパーキンソン病の治療

 住友ファーマは、パーキンソン病を対象としたiPS細胞由来の医薬品候補について、厚生労働省に製造販売承認を申請しました。パーキンソン病は、ドーパミンという物質を作る脳の神経細胞が減って運動機能が下がる病気です。世界で約1,000万人、日本では約30万人の患者がいるとされ、根本的な治療法はありません。現在の治療法は、ドーパミンを補充する薬で病気の進行を遅らせるもので、時間が経つと薬が効きにくくなります。

 他人由来のiPS細胞からドーパミンを生成する細胞のもとを作り、患者の脳に移植します。臨床試験では、移植後脳に定着した細胞からドーパミンが出たことが確認されています。飲んでいる薬が効いていないときの運動機能の改善について、6人中4人の症状が改善しています。

 iPS細胞を使ったこの治療法は、画期性や病気の重篤性などから、国の先駆け審査指定制度の対象になっています。通常は申請から審査まで1年かかりますが、審査期間が半年ほどを目安に短縮されています。早ければ年度内にも承認される可能性があります。

 少数の治験結果をもとに、審査で安全性の確認や効果の推定ができれば、早期に仮免許を与えます。その後最長7年間で数十人規模の大規模調査を実施、製品の効果や安全性を検証し、本承認するか判断します。これまで6製品がこの制度で早期承認されましたが、本承認に至らない例もあります。

(2025年8月6日 日本経済新聞 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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