iPS細胞によるミニ肝臓作製

横浜市立大学の研究グループは、iPS細胞からミニ肝臓を作り、重い肝臓病の乳児に移植する臨床研究計画について、横浜市立大のグループが、夏にも再生医療を審査する慶應義塾大学の委員会に申請する予定です。2020年度の移植を目指しています。iPS細胞から肝臓前駆細胞、血管内皮細胞、間葉系細胞、という3種類の細胞を作り、組み合わせて肝臓の機能を持つ組織ミニ肝臓(直径約0.15ミリ)を作製します。iPS細胞を使う臨床研究で移植する細胞数は、慶應義塾大学の脊髄損傷で約200万個、大阪大学の心不全治療の心筋は約1億個。今回は数億個と大幅に多くなっています。
生まれつき肝臓で有毒なアンモニアを分解できない難病OTC欠損症の乳児が対象で、5人を想定しています。患者は国内で数百人とされています。治療には肝臓移植が必要ですが、安全面から生後数カ月たたないと臓器丸ごとの移植はできません。ミニ肝臓はその間の橋渡しの役割を担うためのものです。将来は大人の肝硬変の治療への活用も目指しています。OTC欠損症の乳児を対象にした治験は、国立成育医療研究センターもES細胞を使い、年内の実施を見込んでいます。

(2019年2月24日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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