文部科学省は、iPS細胞による再生医療の実現に向けた研究ロ-ドマップの改訂版を発表しました。心不全治療のための心筋は2年後、糖尿病治療のための膵臓の細胞は4年後など、iPS細胞によって作製する計19ケの細胞や器官について、人を対象に研究で使い始める目標時期を明記しています。これらは、研究者の見通しをもとに臨床応用の開始目標を設定しています。研究の進展を受け、がん治療用の免疫細胞や毛髪をつくる頭部の毛包、歯など新たに5細胞・器官を追加しています。
iPS細胞からの網膜の細胞を目の難病患者に移植する研究が昨年始まったのに続き、早ければ来年度からパ-キンソン病の治療に使う神経細胞や血小板、角膜について臨床応用を始めるとしています。一方、赤血球や腎臓などは、技術的な困難さからこれまでの目標よりも数年遅くなりました。臨床応用の開始まで7~10年以上かかる見込みです。
(2015年12月5日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)