神戸大学の研究グループは、iPS細胞を凍結保存できる新たな技術の開発に成功しました。従来は培養容器からはがして凍結保存する必要がありましたが、細胞同士の接着を弱め、容器ごと凍結保存できるようになります。今回の工程を自動化できれば、iPS細胞製品の量産が可能になり、またiPS細胞を作製してから医療現場に届けるまでの時間を大幅に短縮できる可能性が出てきます。
一般的に細胞の凍結保存には、ジメチルスルホキシドという溶液を使用します。研究グループは、この溶液に細胞の生存に必要な酵素を凍結による損傷から防ぐアミノ酸のD-プロリンと細胞内で氷の結晶が大きく成長しないようにすえる合成ポリマーを配合する手法を考案しました。
今回の方法でセ氏マイナス80℃で凍結保存したシート状に培養したiPS細胞は、解凍後48時間経っても70%程度が生存していました。市販の凍結剤を使った場合の細胞の生存率は最大で1.2%程度でした。iPS細胞を凍結保存する工程を減らし、シート構造を維持したまま凍結保存できる技術として臨床応用できる可能性があります。

(2026年1月27日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)





