血糖値を一定に保つインスリンを出す膵臓の細胞が破壊される1型糖尿病について、重症患者1人にiPS細胞からつくった膵島細胞を移植する臨床試験を2月に実施しています。経過は良好で安全性に問題ないことを確認しています。この成果を受け、移植する細胞数を増やして2例目を近く行う予定です。今後、治療効果を確認し、2030年代の実用化を目指します。
1型糖尿病は、免疫異常などで膵島細胞が壊される病気です。国内の推計患者数は10万~14万人で、毎日数回のインスリン注射が主流の治療法ですが、負担が大きくなっています。
京都大学iPS細胞研究所は、iPS細胞から膵島細胞をつくってシート状にする技術を開発しています。名刺の半分ほどのシート複数枚を40代の女性患者の腹部2カ所に移植しました。他人の細胞由来ですが、現時点では拒絶反応などはみられていません。術後1カ月で退院し、現在は通院しています。

(2025年4月15日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)