エンジニアの人手不足が深刻なIT業界で、女性人材の才能発掘や育成を始める企業が増えています。メルカリは社外向け育成プログラムで人材を獲得し、SHIFTは未経験者の採用を広げています。7割の企業がIT人材不足を訴えていますが、理系の女性比率は2割であり、なり手は少ないのが現状です。
ITエンジニアは、特に女性比率が小さい職種の一つです。大手中心の情報サービス産業協会の調査によれば、2019年の女性比率が20%でした。日本では、そもそも大学でSTEM(科学、技術、工学、数学)分野に進学する女性が少ないといった課題があります。日本でSTEM分野を専攻する女性の割合は17%であり、OECD平均を15ポイント下回り、最も低率です。
OECDの学習到達度調査によれば、日本の女子学生の成績は数学7位、科学6位と、男子学生と同様に上位でした。女子に理系は不向きといった先入観や職種ごとの性別の偏りが、理系進学を阻んでいると思われます。エンジニアと言えば男性という先入観がありますが、実際ポテンシャルに差はありません。労働負荷軽減や出産後もキャリアを続けやすい仕組みをつくれば、自然と女性は増えてくると思われます。
(2022年7月8日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)