2020年版男女共同参画白書によれば、男性の就業者数3,733万人に対し、女性は2,992万人を占めています。女性就業率の増加により、M字カーブは解消しつつあります。しかし、雇用者全体に占める非正規の割合は56%であり、35歳以降の全ての年代層で、非正規の割合は50%以上となっています。一方、男性の非正規の割合で50%以上は、65歳以上のみです。正社員の短時間勤務や在宅勤務などが進まない中で、柔軟な働き方をしたければ、非正規しか選択肢がない現実がこの背景にあります。労働時間や勤務場所の柔軟性がないため、結果的に離職したり、パートに就いたりする女性は多くなります。
30代以降の女性の正規雇用率を高めることは、管理職候補の女性を増やし、企業や社会に多様性をもたらす上でも有効です。また、正規化を進めるだけでなく、非正規の処遇改善も同時に行うことが重要です。副業が増えていく中で、全員が正規雇用を目指すわけではありません。正規と非正規の不合理な格差をなくし、非正規を雇った方が得だと企業に思わせない仕組みにしていくことが大切です。
政府は7月の骨太の方針でも、L字カーブの解消に向け、第1子出産後の継続就業率の目標を、2025年70%にすることにしています。同時に正規化を強力に推し進めます。
(2020年8月14日 読売新聞)
(吉村 やすのり)