日本のLCC(ローコストキャリア)の市場規模は、世界と比べて見劣りがします。LCCは、サービスを簡素にして格安料金を強みとする航空会社を指します。ビジネス客が多く、従来型のサービスを提供するFSC(フルサービスキャリア)と対置されます。ボーイングの737やエアバスのA320などの小型機に統一して、整備費用を抑え、運航の頻度も高めて効率化を徹底しています。
日本では、2012年にANAホールディングス傘下のピーチ・アビエーションなどが運航を開始しました。成田空港などに専用ターミナルが設けられインフラ整備も進んでいます。新型コロナウイルス禍でビジネス客の利用が減る中、観光客が主体のLCCの収益回復は早いとされ、日本の航空大手もLCC事業の強化を進めています。
国土交通省の調査から推計すると、2019年の日本の旅客数のうちLCCのシェアは2割弱です。米国は3割、欧州は4割程度を占めています。日本のLCCは国内線が主体で、親会社の航空大手の経営資源や顧客基盤を生かしたサービス展開を進めています。一方でコスト競争が避けられず、海外では再編の動きも進んでいます。
(2022年7月20日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)