運転免許を自主的に返納する高齢者が右肩上がりに増えています。運転免許の自主返納制度は、1998年度にスタートし、今年の75歳以上の返納者は8月末時点で約16万3千人に達しています。車が暮らしに欠かせない移動手段となっている人にとって、返納という決断は簡単なことではありません。制度の周知が進み、自治体などの返納者への支援も充実してきています。
しかし、75歳以上の免許保有者数に対する返納率には地域差があります。都道府県別のトップは大阪府、2位は東京都など上位は都市部が目立ち、電車やバスといった代替交通手段があるかどうかが影響しています。返納のハードルを下げる取り組みも始まっています。自主返納した65歳以上の市民に、市内を走るコミュニティーバスと予約制のデマンドバスの終身無料乗車券をわたしている市もあります。行政によるミニバスの増便など、マイカーに代わる交通を使いやすくする公的特典を増やすことが実施されています。
(2017年10月30日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)