日本の女性の有業率を年齢層別にみると、20代後半から30代にかけて減少することから、M字カーブと名付けられています。20代後半に高まり、結婚や出産などを理由に30代で低下し、子育てが落ち着いた時期に再び上昇する傾向にありました。近年、人手不足を背景とした共働き世帯の増加など、女性の職への定着が進んだことでM字は改善傾向にあります。近年は欧州各国のようなくぼみのない台形に近づきつつあります。
総務省の就業構造基本調査によれば、2022年の20代後半〜40代の女性の有業率は8割前後になり、男性の9割に近づいています。企業による女性の離職防止や男性の育休取得の促進といった女性が働きやすい環境が整ってきたことが背景にあります。
出産などを経て仕事を続ける女性の正規雇用率の低さは課題として残ったままです。非正規雇用は正規と比べて賃金は見劣りし、男女の収入格差の要因になっています。育児・介護中も正規雇用の仕事を続けやすくするには、テレワークや時短勤務といった柔軟な就業環境に加え、男性の育児参画や家事分担なども欠かせません。
(2023年7月22日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)