欧米においては、MBA(Master of Business Administration)プログラムとして、企業経営を科学的アプローチによって捉え、経営の近代化を進めるとの考え方のもとに、1881年にウォートンスクールが最初のビジネススクールとして設立されました。ビジネススクールが、経営学修士号(MBA Degree)を授与します。以前はMBA取得後金融機関に戻る人が多かったのですが、最近起業する人が増えています。
ウォートンは米国東部にあるペンシルベニア大学のビジネススクールで、トランプ米大統領の出身校でもあります。行動のための知識を掲げ、2025年の世界MBAランキングでは1位です。米ペンシルベニア大学ウォートン校の卒業生ネットワークがスタートアップ業界で目立っています。わが国の起業の相談や経営陣の構成、資金調達や社外取締役の紹介まで、同窓生が互いをサポートしあうコミュニティーとして機能しています。人脈はMBA留学で得られる財産の一つで、ウォートンの例はスタートアップ業界での流動性や支え合いに寄与しています。
しかし、アクシアムの集計によれば、米国の主なMBAスクールへの留学者数は2001年をピークに減少傾向で、2026年卒業見込みは109人です。社費留学の減少や円安による費用負担の重さが背景にあります。ウォートンの場合、学費は2年で26万4,808ドルで、円換算で4,000万円を超えます。加えて、トランプ米政権は留学生のビザ厳格化を打ち出しており逆風は強くなっています。
海外で学び、帰国後に産業を変えようとする人材が増えていくことが期待されます。コンフォートゾーンを抜け出し、起業マインドを持ってベンチャーキャピタル業界で道を切り開いていくことが大切です。
(2025年12月4日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)







