OECDによる教員の実態調査―Ⅲ

AI授業の遅れ

 日本は授業でAIを使う中学校教員が全体の2割弱で、活用率は55カ国・地域中54位です。過去12カ月間の間にAIを授業などで使ったと答えた日本の小学校教員は16%、中学校教員は17%でした。中学校は最下位のフランスに次いで下から2番目でした。

 AI使用についての考え方を聞いたところ、日本は、児童生徒の偏った見方を増大させると答えた割合が小中ともに5割を占めています。児童生徒のプライバシーとセキュリティーを危険に晒すとした割合は5割を超えています。AIによる悪影響への懸念が強く、教員が安心して有効活用できるような環境づくりが必要となります。

 海外では国や自治体が主導して活用を広げています。文部科学省の調査によると、米政府は2024年にAIを使った教育サービスの開発者向けに安全性や信頼性に関する指針を策定しています。シンガポールでは2023年から、小学校の一部学年の算数でAI搭載の学習システムが使われ始めています。オーストラリアのニューサウスウェールズ州は、学校向けの生成AIツールを独自に開発し、2024年から順次導入を進めていきます。

(2025年10月8日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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