日本人知力の低下
OECDによる国際成人力調査で、日本は読解力など3分野全てで2位以内を維持しています。日本は読解力と数的思考力は前回調査から1つ順位を下げ、2位でした。初めての調査した状況の変化に応じた問題解決能力は、フィンランドと並んで1位でした。一定水準の教育を保障してきたことにより、分厚い中間層が順位を押し上げています。
数的思考力の平均点を年齢別でみると、若年層の16~24歳が最も高く、その後は低下を続いています。OECD平均は25~34歳が最高点で、北欧諸国もピークが日本より遅くなっています。1位のフィンランドは35~44歳が最も高く、同じく3位のノルウェーは25~34歳がピークでした。北欧諸国では、大学におけるリスキリングへの経済的な支援が手厚く、学び直したい社会人向けに職務経験を評価する入試を行うといった取り組みも進んでいます。
日本の再教育の参加率は、北欧諸国を約20ポイント下回る37%で、OECD平均より3ポイント少なくなっています。生産性は北欧諸国の半分程度で、37カ国中21位にとどまっています。リスキリングを経営課題と位置付ける企業は76%に上っていますが、取り組みを始めているという社は16%と低水準です。労働生産性を高めるためには、日本でも学び続けられる環境づくりが急務です。日本では、高学歴の労働者でも職場で必要とされる具体的なスキルが足りない人が多く、企業にとってリスキリングなどの人材投資が大切となります。
(2024年12月11日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)