PCR検査のプール方式の長短

厚生労働省は、新型コロナウイルスのPCR検査のプール方式を、対象を限って行政検査でも使えるようにしています。プール方式は、複数の人の検体を混ぜて一度に調べ、結果が陽性の時だけ一人ひとり調べ直す方法です。感染者が少ないほど調べ直す機会が少なくて済み、検査規模を拡大しやすいとされています。検査の目的は、陽性者をできるだけ多く見つけ出し、隔離、保護することにあり、海外の先進国は、既にプール方式を導入し、病院などでのクラスター防止につなげています。
しかし、プール方式は陽性と判定する精度が一般的には落ちます。検体を入れるチューブの大きさは決まっており、チューブ内の1人あたりの検体量が少なくなるためです。また、PCR検査自体、試薬や機器によって精度はまちまちです。そのため、厚生労働省の指針では、プール方式を始める前に機器や試薬の精度の確認を求め、検体を混ぜるのは5人分を基本としています。
厚生労働省研究班によれば、100人に1人が感染している場合(陽性率1%)、5人分の検体をまとめると、個別検査よりも試薬や消耗品を75%ほど減らせます。陽性率が10%だと、削減効果は40%ほどに下がってしまいます。検査時間は、陽性率が1%では半減できますが、10%では個別検査とほとんど変わりません。

(2021年1月31日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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