Precision Medicineとは

 個人の遺伝子情報などの詳細な情報をもとに、より精密な対応を実施する個別化医療のことを言います。現在ではゲノム医療の延長線上の概念として捉えています。ヒトのゲノム情報を用いて病気への罹患の可能性や薬物感受性などの遺伝子多型情報をもとに、個人に適した治療を提供することを目的としています。
 同じがんでも発症したり進行したりする原因は人によって異なります。患者の遺伝子を調べて原因を特定すれば、薬の有効性や副作用を予測し、その人に合った薬を選べるようになります。従来のがん治療では、同じがんであれば同じ抗がん剤で治療することがほとんどでした。しかし近年、がんの特定の原因遺伝子の異常によって生じるたんぱく質を抑えてがんの増殖を抑える分子標的薬が登場してきました。肺がんや乳がん、慢性骨髄性白血病などで効果が上がっています。個別化医療には、原因遺伝子を検索し、患者に合った治療選択するPrecision Medicineの発展が望まれます。
 国立がん研究センターなどのグループは、患者300人から手術で切除した肝臓がんについて、ゲノムの配列を全て解読しました。異常が起きた遺伝子によって、肝臓がんは6つのタイプに分類できることがわかりました。肝臓がんには、まだ分子標的薬はありませんが、日本人の肝臓がんに多い遺伝子異常のタイプがわかったことで、肝臓がんの分子標的薬の開発につながると期待されます。


(2016年4月12日 日本経済新聞)
(吉田 やすのり)

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