地球規模の課題を解決して環境・経済・社会の調和を目指すSDGsは、今やビジネスの標準装備と言われるようになってきています。しかし、問われるのはその中身です。国連グローバル・コンパクトの日本支部であるグローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン(GCNJ)の調査によれば、長らく課題とされてきた中間管理職と従業員の認知度が急増し、約8割となっています。しかし、重点を置く課題は貧困や飢餓が少なく、既存のビジネスの範囲内で取り組まれている現状も明らかになっています。
社会を良くするために企業はどう変わったらいいのかを問うことなく、SDGsに関係する商品作りや活動に注力する企業が増えています。なぜSDGsは必要なのか、自社にとってSDGsとは何かを掘り下げることが要求されます。SDGsの視点から企業を選ぶ学生が増える一方、企業側も互いに知恵を出し合って取り組みを深める試みを始めています。新たな価値観にもとづく就職先選びという外圧と、社内で動く人たちを増やす内圧の双方を通じて、ビジネスで社会課題を解決してゆく活動を増やしていくことが大切です。
(2022年6月27日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)