理化学研究所の小保方ユニットリーダーらが1月末にネイチャー誌に発表したSTAP細胞について数々の疑惑が指摘されている。幼若マウスのリンパ球を弱酸性の液体にさらすだけで、iPS細胞やES細胞と同様の万能細胞に変化するとされた。これらの報告は、生命科学の常識を覆す大発見であるともてはやされた。
ここに来てさまざまな疑問点が浮上した。一つはSTAP細胞が万能性を持つことに関してである。筋肉や腸組織に分化する写真は、STAP細胞からの分化を示すものではなく、骨髄由来細胞からの分化であったとされている。もう一つはリンパ球から作製したことを示す遺伝子の変化が再現実験では見られなかったとのことである。これら疑惑については、研究の根幹を揺るがす問題であり、一度は白紙撤回して徹底的な再検証をすべきである。成果そのものは揺るがない事実であってほしい。