SDGsの意識
10代後半から20代前半の若者層をZ世代(19~26歳)と言います。Y世代(27~41歳)とX世代(42~56歳)とは様々な違いがみられています。日本経済新聞のアンケート調査によれば、関心のある社会的問題として、4位から7位までの人種差別、飢餓・栄養不足、ジェンダー不平等、LGBTQ(性的マイノリティー)差別が他の世代では見られず、Z世代の特徴と言えます。Z世代が挙げた貧困や人種差別などは、人間の生存や尊厳に関わる課題で、現在グローバルで共通の大きなテーマになっています。また、ジェンダー不平等やLGBTQ差別は当事者の存在も含めて、身近で考えやすいテーマです。
一方、Y世代以上では中高年世代も含むため、ランクインしている介護問題や高齢化などは切実な課題です。Z世代では上位に入ってこない大気汚染、森林破壊、海洋汚染など、地球環境に関する課題があるのは、SDGsができる前から問題と取り上げられています。近年の豪雨などの異常気象などで、自然環境の変化を長年の経験の中から実感しているのかもしれません。
SDGsや社会的課題への取り組みを行う企業に対する印象については、Z世代は、好感が持てる、製品・サービスを利用したいと思う、働いてみたいと思うの全ての項目で、とても当てはまるがY世代以上よりも高くなっています。この点からもSDGsへの関心の高さ、さらには自分ごとと捉えている意識が見て取れます。
今後、SDGsを意識した行動に取り組みたいと思うかという質問については、Y世代以上は69.9%が肯定的な回答をしたところ、Z世代の中でも学生は74.1%とさらに高い回答率を示しています。さらにその中でもコロナ禍以降入学者に絞ると、78.4%と8割に迫る高さでした。一方、コロナ禍以前入学者は64.6%と14ポイント近く低くなっています。
(2021年12月2日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)