がん生存率の改善

 国立がん研究センターによれば、新たにがんと診断された患者数は2023年で約99万3千人です。がんの死亡数も増えています。厚生労働省の人口動態統計によれば、1988年に20万人、2001年に30万人を超え、2025年は約37万8千人に上ります。

 しかし、高齢化の影響を除いた年齢調整死亡率で見ると状況は変わります。1990年代半ばまで横ばい状態でしたが、その後は低下しています。男女別では、男性は1990年代半ばまで増加し、その後は減少に転じています。女性は一時的な増減を除いて減少傾向が続いています。

 男性では膵臓、白血病のがん死亡が増えています。食道、胃、肺、肝臓、大腸などのがん死亡は減少しています。女性では膵臓、乳房、子宮、卵巣、白血病の死亡が増えています。胃、肺、肝臓、結腸などは減っていますが、食道、直腸、子宮頸部などのがんは横ばいです。水道の整備で新たにピロリ菌に感染する人も少なくなっています。肝臓がんは、原因のC型肝炎ウイルスなどを除去する薬の効果で患者が大幅に減っています。

 5年生存率は、多くのがんで上昇傾向にあります。支援ロボットを使った手術など、患者の身体的負担を軽減する治療も増えています。手術による体力の消耗が少なければ、その後の治療を継続しやすくなります。5年生存率の向上には、がん検診などの普及も寄与しています。検診で早期に発見できれば、それだけ早く治療に移れます。死亡率を減らす効果があると国が推奨するのは、胃、大腸、肺、乳房、子宮頸部の5つの部位の検診です。

(2026年10月19日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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