もしもの時に望む医療やケアについて、本人や家族らが話し合う取り組みはアドバンス・ケア・プランニング(ACP)と呼ばれます。欧米では医療現場などで実践的に取り入れられています。日本での認知度は低く、厚生労働省などが2018年から人生会議の愛称で普及を進めていますが、2022年度調査でACPをよく知っていると答えた国民は5.9%です。医師や看護師、介護支援専門員はいずれも5割近くが認識しています。
医療現場では、患者の意思尊重のあり方が懸案となってきました。医療が進歩し重い病状でも命を保ちやすくなった半面、治療が本人の望む生き方と一致するか、判断が困難な場面もあります。日本集中治療医学会など4学会は、救急・集中治療を巡り人工呼吸器などの生命維持治療を始めない場合や、終了する際の手順を示すガイドラインをまとめています。
どこからが延命かを一律に区切るのは難しいとして、終末期医療や延命治療の用語は使わず、生命維持治療としています。治療方針は医療チームが患者や家族と話し、患者の意思に沿い決めます。意思を確認できなければ、家族らと本人にとって最善の方針を探るとしています。どんな医療を望むかは、病状や置かれた状況により変わり得るため、家族など身近な人と日頃から価値観を共有しておくことが大切です。

(2026年10月16日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)





