2026年のノーベル生理学・医学賞で光遺伝学の概念は、実は日本が先行していたとされています。東北大学の八尾名誉教授は、光を感知するたんぱく質であるチャネルロドプシンを生きたマウスの脳に組み込めば、光によって神経細胞の活動を操作できると示す論文を2006年に発表しています。明暗を分けたのは異分野の研究者との連携でした。
光遺伝学では、周辺の研究が同時に発展する必要があります。遺伝子の導入や光の制御・計測に関わる装置開発、たんぱく質の研究など、発展途上の研究の組み合わせが大切となります。日本では、応用展開で海外勢のような流れをつくれませんでした。
日本は異分野を融合する学際的研究が弱いとされています。文部科学省科学技術・学術政策研究所が2023年に発表した調査によれば、学際研究は2020年に266領域に及んでいます。このうち日本の参画は84領域(全体の32%)で、中国の180領域(68%)や英国の138領域(52%)、ドイツの118領域(44%)より少数です。
学際的な研究には、国際的な研究チームを組織できるかも大切となります。この点でも日本は他国に先行されています。日本が海外の研究者と執筆した国際共著論文の割合は、2024年は全体の論文数の38%でした。この割合は英国(全体の76%)やドイツ(66%)、米国(47%)と比べて低率です。日本の研究力は2000年代前半をピークに低下しています。
(2026年10月20日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)







