暗い凪による発電量の低下

 太陽が出ず、風も吹かない暗い凪と呼ばれる現象の研究が注目を集めています。再生可能エネルギーの比率が高い欧州では、発電量の大幅低下を引き起こしています。

 暗い凪は、日射量や風量が一定の基準を下回り、数日間にわたって太陽光や風力の発電能力に影響を生じさせる現象を指します。気象庁気象研究所の予測によれば、暗い凪を発電量の低下が48時間続く状態と定義し、風向きや雲の発生状況から日照量や風量を計算したところ、6~10月にかけて発生しやすく、9月に最も頻度が高いことが分かりました。過去(1960~2020年)と将来(2070~2100年)で発生頻度を比べると、関東から関西にかけての一部エリアでは、10年に1回程度から5年に1回程度に増える可能性があります。

 東北地方では、やませと呼ばれる冷たく湿った風が吹く夏季に発生しやすいとされています。暗い凪による電力需給への影響は、再エネの導入割合や地域ごとの希少特性によって変わり得ます。風力発電の比率が高まる地域では、暗い凪が発生すると需給への影響が大きくなる可能性があります。再エネ導入で先行するドイツでは、2024年に電力需要の高まる冬場の夕方に暗い凪が発生し、需給が逼迫しました。

 政府は、再エネ比率を2040年度を目途に4~5割程度まで引き上げる目標を掲げています。このうち太陽光は23~29%、風力は4~8%ほどの割合を見込んでいます。電力需要が特に高い夏季や冬季に発生すれば、電力供給が追いつかなくなる恐れも否定できません。将来的には再エネ発電量が極端に少なくなる気象条件を事前に把握しておくことが大切になります。

(2026年8月5日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

カテゴリー: what's new   パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です