全身の筋肉が衰える遺伝性の神経疾患である脊髄性筋萎縮症(SMA)の治療薬が複数登場しています。ここ数年で全年齢向けの遺伝子治療薬に加え、既存薬より効力を高める高用量の核酸医薬が承認されています。
SMAは10万人に1人が発症する国の指定難病で、日本に約1,500人の患者がいると推定されています。筋肉を維持するためのSMNたんぱく質を作る遺伝子に異常があり、全身の筋肉が衰えます。手足が動かなくなったり、呼吸や飲み込みが難しくなったりします。多くは小児期に発症しますが、成長後に症状が出る場合もあります。生後半年以内に発症するⅠ型は重症化しやすく、治療薬が出る前は気管切開をしなければほとんど生存できませんでした。

2017年に、たんぱく質を作るmRNAワクチンに働きかける核酸医薬のスピンラザが承認されました。その後乳幼児向けの遺伝子治療薬のゾルゲンスマ、飲み薬のエブリスディが相次いで承認されました。全ての筋肉を維持するSMNたんぱく質を補う薬です。

今後は診断体制の整備も大切となります。生後すぐに先天性の疾患を見つける新生児マススクリーニングを使い、早期に治療をすればSMAの発症を抑えることも可能です。検査はほとんどの自治体で公費で受けられますが、東北4県や島根県など一部の地域では自己負担が求められます。

(2026年7月18日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)





