日本で自転車通行スペースが不足しています。国土交通省によれば、2024年度末時点の自転車通行空間の総延長は9,841㎞で、2017年度に比べて5.6倍になっています。主に伸びたのは自動車も同じスペースを走れる混在型です。安全性の高い自転車道と専用通行帯は、合計で1,000㎞未満と全国の道路の0.1%程度です。

海外では欧州を中心に整備が進んでいます。自転車が交通インフラの中心のオランダは約3万8,000㎞の自転車専用道路を張り巡らせています。日本で専用通行帯が増えない要因は道路の狭さにあります。都市部は専用通行帯を設ける場合に道路幅の拡張が必要になることが多く、用地取得や工事の費用がかさみます。自転車専用でない矢羽根標示を含めた自転車通行空間の全体で見ても、日本は海外に比べて立ち遅れています。国土交通省によれば、面積1㎢あたりの距離は東京23区が0.68㎞です。パリの10.38㎞の1割にも満たない状況です。

日本は、交通事故死者数を移動手段別にみると自転車乗車中が15.3%を占めています。安全に走れる環境が整っていないことが一因とみられています。専用通行帯を増やすほか、自転車を妨げる自動車の駐停車を禁止するなどの対策も必要です。アムステルダムのように自家用車の通行を制限する方法もあります。

(2026年8月30日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)





