血液製剤の自給率の低下

 血漿分画製剤は、血液中の血漿と呼ばれる成分から造る医薬品です。病原体から体を守る成分を取り出した医薬品は免疫グロブリン製剤と呼ばれ、重い感染症や川崎病などの治療に使われます。免疫グロブリン製剤は、近年治療できる疾患の対象が広がったことで需要が高まっています。予防向けなど定期的に使われるケースも増えています。需要が増える一方で、国内の生産は伸び悩んでいます。2007~2018年度に95%前後だった自給率は、2025年度に59.4%まで低下しています。

 日本血液製剤協会によれば、血漿分画製剤の原価率は6割と高く営業利益率3%しかありません。薬価改定により約40年にわたって価格も下がり続け、2025年には薬価収載時の額から5割ほど下がっています。利益率が近いことが生産量の低下に影響しています。

 血漿分画製剤の輸入にはリスクも伴います。血液からつくられる血漿分画製剤には、新興感染症など未知のウイルスが混入する可能性が否定できず、感染症発生時に国産品のほうが対応しやすいメリットがあります。免疫グロブリン製剤は医療現場で極めて必要性が高い薬のため、供給が止まると治療に影響が出る恐れがあります。

 政府は、官民で370兆円超を投資する戦略17分野の創薬・先端医療で、免疫グロブリンの国内自給率100%を目指します。原料の血漿の確保など、ワクチンや抗菌薬とともに2040年度までに7.2兆円を投じます。

(2026年7月8日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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