高齢者の資産の管理―Ⅰ

認知症の増加

 厚生労働省の推計によると、2025年時点で、65歳以上の高齢者のうち認知症の人は471万6千人(12.9%)に達しています。2040年には584万2千人(14.9%)に増えるとみられています。認知症の前段階である軽度認知障害(MCI)の人もあわせると、2022年時点で65歳以上のうち、3割弱の人が認知機能の低下がみられる状態にあるとされています。

 認知機能の低下にともなって、記憶障害が出たり、物事の段取りや計画を立てることができなくなったりします。人によって、うつ症状、妄想・幻覚などがみられる場合もあります。症状が進むと会話が成立しにくくなり、運動機能が低下するなどして日常生活に介護が必要になります。近年、認知症の人の治療方針を決める際には、本人の意思をもとに、医療従事者や家族が支えていく共同意思決定の仕組みが重要とされています。

 原因疾患として最も多いのはアルツハイマー病で、原因の6~7割を占めています。脳内にアミロイドβと呼ばれる異常なたんぱく質がたまり、神経細胞が壊されて、脳の萎縮が起きます。他に、脳梗塞や脳出血などの脳血管疾患が2割ほどを占めています。レビー小体と呼ばれる異常たんぱく質が原因となるものもあります。時間とともに症状は進み、根本的な治療法はありません。アルツハイマー病では、アミロイドβを除去する治療薬が登場しています。

 認知機能が低下した高齢者は1千万人を超えるとされており、その資産を詐欺などの被害から守ることが大切となります。

(2026年4月15日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

カテゴリー: what's new   パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です