国際的に大幅に遅れている有機農業の取り組みが動き出しつつあります。農林水産省が、生産から消費まで一貫して取り組むモデル地区としてオーガニックビレッジを本格推進して3年が経過し、宣言自治体は約3倍に増えました。化学肥料など海外資源に頼る不安定さから脱却するひとつの光明となります。
オーガニックビレッジ制度は、環境負荷の軽減などを主眼に2022年に始まり、2025年度時点で154市区町村となっています。宣言自治体には交付金などを通じ計画作りを支援しています。都道府県別に取り組む自治体比率をみると、島根県が全国1位で26.3%です。兵庫県が2位で24.4%、宮崎県が3位で23.1%と続いています。
島根県は、人口減に打ち勝ち笑顔で暮らせる島根をつくるには農林水産業の強化が欠かせないとした上で、大規模化が難しい中山間地の競争力を引き上げる手段として活用します。生物多様性の保全を前面に打ち出すのは兵庫県豊岡市です。農家や行政が一体となって有機米のコウノトリ育むお米の生産・販売拡大に取り組んでいます。
有機を実施する農地面積は、2024年度時点で全国計約4万haあります。10年間で2倍近くとなっています。しかし、全農地に占める割合は1%にとどまり、オーストラリアの27%やイタリアの19%など諸外国に比べて著しく低い状況です。少子高齢化や過疎の進展で基幹的農業従事者数は、2000年の240万人から2025年には約103万人に減少しています。平均年齢は67.7歳に達しています。労務負担が大きい有機を地域ぐるみで推進するのは容易ではありません。

(2026年8月1日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)





