大学を評価する新しい物差し

 文部科学省によれば、2025年の大学進学者数は約65万人です。ほぼピークの水準に達しているとみられ、今後は減少していく見通しで、2050年に3割減の42万人になると推計されています。仮に定員規模が大きく変わらなければ、2050年の大学進学者は2人に1人が難関私立や国公立大に在籍することになります。

 難関大の学位は熾烈な受験競争を勝ち抜いた証しであり、偏差値でランキングされた学歴が力を持っていました。しかし、18歳人口が急減して門戸が広くなる時代には、独自にブランド力を高めていかないと埋没する可能性があります。

 入学後に学生をどれだけ成長させたか。文部科学省がこんな評価軸を新たに打ち出そうとしています。国公私立大学の学部ごとに学生の成長度合いや教育への満足度などを評価し、三つ星、二つ星、一つ星、要改善の4段階で示す仕組みで、2030年にも導入したい考えです。教育の質を高める視点を重視します。評価軸づくりには、私大の経営環境の急激な悪化が影響しています。文部科学省の試算によれば、18歳人口の減少により資金ショートリスクが高い私大の数は、2040年度に約260校と現在の5倍に増えるとしています。

 偏差値で大学を語る文化は残っていますが、今の学生たちは大学ブランドの形骸化を目の当たりにしています。2050年に18歳を迎えるのは、今の学生たちの子ども世代です。学部卒は当たり前で、大学院で何を研究したか、勤務先で何を経験するかが問われるようになります。大学の減少は不可避です。だからこそ偏差値とは別の入学後の尺度で、高校生や保護者が選べる環境を整えて多様な人材の育成につなげることが大切となります。

(2026年9月7日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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