がんと診断され、治療を開始してから5年後に生存している人の割合を、5年生存率という。医療の進歩により、さまざまながんの5年生存率は年々増加してきており、がんを治療しながら働く患者は32万5千人にも達している。がんと診断された後に患者の約4分の1が、元の職場を退職している。実際には早期復帰が可能なのに、治療に専念することを考えて離職する場合も少なくない。
治療を受けながら、仕事を続けられることができるようにするための支援策が必要となる。厚生労働省は、企業に対し負担の少ない職場への異動や、通院する日を有給休暇扱いにするなどの支援策を求めてゆく方針である。治療が治まった段階で、患者の病状や年齢、経済的な背景を考慮し、どのような治療が患者にとって幸せかを家族や医師と検討することが大切である。
(2014年9月19日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)