わが国における夫婦とは

これまで一般的にわが国においては、婚姻関係のある夫婦が夫婦として認められており、事実婚は法的に夫婦として認められず、さまざまな点で不利益を被ってきた。しかしながら最近では、事実婚の間で生まれた子どもであっても遺産相続上の不利益がなくなり、性同一性障害のカップルにおいても婚姻関係が認められたり、夫婦別性を選択するカップルの増加など夫婦関係に多様性が認められるようになってきている。これまで体外受精・胚移植などの生殖補助医療は婚姻関係にある夫婦において実施するように、日本産科婦人科学会は会員に指導してきた。しかしながら、2006年に実施する際に医師が戸籍などで婚姻関係を確認する原則をなくした。さらに昨年12月の民法改正で婚外子の相続規定が撤廃されたのを受け、学会は治療の対象を事実婚においても認める方針を固めている。

現在わが国には、体外受精を受けるカップルに対して、不妊治療を助成する制度があるが、この助成は婚姻関係がないと受けることができない。事実婚夫婦でも不妊治療を受ける権利があり、助成制度の適用を認めるような方向に変更していくことが大切である。既に事実婚のカップルに助成を認めている地方自治体も存在する。

(2014年4月9日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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