アジアで現金決済が消えつつあります。スマートフォンをかざすQRコード決済などの普及で、支払いに占める現金の比率は、2027年に14%と2019年比で3分の1に下がっています。インドなどは政府主導の決済方式を推進し、米欧クレジットカード会社から主導権を取り戻す決済ナショナリズムに動いています。
アジアで脱現金は急速に進んでいます。14カ国・地域の現金支払比率の単純平均を算出すると、2027年は14%と2019年比で33ポイント低下し、欧州の12%とほぼ肩を並べています。コンサルティング会社の仏キャップジェミニの予測によれば、アジア太平洋地域でのキャッシュレス決済は、2028年に1兆4,576億件となり、クレジットカードが普及する北米の4倍超に膨れ上がります。
店頭におけるスマホ決済の比率は、2027年に世界平均で46%と、クレジットカードの22%の2倍以上となる見通しです。インドや中国が政府主導でキャッシュレス化に取り組む背景には、自立した決済網を構築したいとの思惑もあります。
(2025年1月26日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)