日本のエネルギー自給率は、2011年の東日本大震災前までは、20%を維持していました。福島原発事故を契機とした原発の稼働停止で自給率は落ち込み、2020年時点では11%にとどまっています。主要国の中では韓国の19%も下回る最低水準です。
化石燃料の海外頼みの構図が、円安を加速させている面があります。原油やLNGなど燃料の輸入超過が響き、貿易収支は2023年まで3年連続の赤字が続いています。貿易赤字は円売り・ドル買いの需要が膨らむために円安要因となります。エネルギーの輸入コストが膨らむ悪循環につながっています。エネルギー自給率を高めることが、貿易赤字を縮小させ円安対策になります。
足元の急激な円安・ドル高進行で、円建ての燃料価格には再び上昇圧力がかかります。ほど良い円安を超えた為替の水準は、輸入燃料依存が強い現状の電源構成への警告です。
(2024年5月11日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)