ギャンブル依存症問題を考える会の発表によれば、患者の家族から寄せられた相談は479件に増加しています。このうち約2割に当たる97件がネットカジノに関するもので、コロナ禍前の2019年の8件の12倍になっています。深刻なのが低年齢化です。全相談の8割弱が20、30代の家族からです。10代の子どもが関わるスポーツ賭博の相談も寄せられています。スポーツ賭博が蔓延している高校もあります。高校生のためにアカウントを売買する業者まで現れています。
コロナ禍でオンラインの公営ギャンブルにはまる人が増え、そこでできた借金を取り返そうと、オンラインカジノへ移行しています。今やスマホ一つで違法なギャンブルができる時代になっています。海外で合法的に運営されているネットカジノでも、国内から接続して賭けるのは違法です。違法性をうたわずに運営しているサイトがあり、違法と認識せずに利用する人がいます。依存症の行き着く先は自死や犯罪です。病気という認識を持つことが大切です。
依存症状態になると負け続けてもギャンブルをやめられなくなります。いったん依存症になると立ち直るのは困難です。医学的な介入方法として、自分の状態を理解、認知してもらう心理療法がありますが、借金の整理なども必要となります。家族が安易に借金を肩代わりすることは止めるべきです。
(2024年5月4日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)