国内でのデング熱感染者が急増している。厚生労働省に1日の発表によれば計22人に増えたとのことである。いずれも2~3週間前の8月に代々木公園とその周辺に行ったことのある人から発症しており、代々木公園付近にいた複数のヒトスジシマカがウィルスを持っており、人を刺して感染させる事態となったと思われる。国内でデング熱に感染する恐れは専門家の間では以前より指摘されていた。海外からウィルスが入るケースが増え、ウィルスを媒介するヒトスジシマカが広くわが国に生息している。
デング熱は感染しても半数以上は発症しない。発症する場合は、感染3~7日で38℃以上の発熱や頭痛、筋肉痛なインフルエンザに似た症状を示す。通常は自然治癒するが、まれに重症化すると吐血や血尿などデング出血熱になることがある。大人より抵抗力の弱い子どもに多く発症する。わが国では死亡例は報告されていない。ワクチンはなく、蚊に刺されないようにするしか予防法はない。当分の間は、代々木公園の散歩は避けることにする。
(2014年9月2日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)