働きながら介護にあたる人は、ビジネスケアラーとかワーキングケアラーと呼ばれます。経済産業省の将来推計によれば、仕事しながら介護を担うビジネスケアラーは2025年に307万人となり、2015年時点の1.3倍に増えます。2030年には318万人に達し、仕事との両立の難しさや介護離職による経済損失額は、約9兆円と推計されています。
日本総研の調査によれば、2020年時点で45~49歳だった年齢層のビジネスケアラーは65万人にも達しています。10年後に55~59歳に達すると171万人に増え、同世代の17.9%を占めることになります。5.5人に1人が仕事と介護の両立に直面する計算になります。
介護との両立に限界を感じ、仕事をやめる人も後を絶ちません。総務省の2022年の就業構造基本調査によれば、介護・看護を理由に離職した人は10万6千人で、2017年時点の9万9千人から7%増えています。勤務先に両立支援制度が整備されていないことが多く、東証プライム市場に上場する約110社のうち、従業員の介護状況を把握していない企業は半数に上っています。
(2024年10月23日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)