マイコプラズマ肺炎の増加

 マイコプラズマ肺炎が、今年過去になく大流行しています。マイコプラズマ肺炎は、肺炎マイコプラズマという細菌が引き起こす感染症です。くしゃみや咳のしぶきなどを通して感染し、熱や咳、倦怠感や頭痛が出ます。咳は数週間続くケースがあります。症状が軽い場合は自然に回復することもありますが、一部の患者は肺炎が重症化して入院が必要になることがあります。まれに脳炎などを起こすこともあります。抗菌薬による治療で、多くは症状が改善します。潜伏期間が2~3週間と長いため、家族らに症状が出てから忘れたころに自分に症状がでることがあります。

 マイコプラズマ肺炎の患者数は6月頃から急速に増えています。国立感染症研究所によれば、全国約500の定点医療機関から報告された患者数は、9月30日~10月6日の1週間には1カ所あたり1.94人となり、現在の集計方法になった1999年以降、1週間の患者数としては過去最多を上回っています。そこから4週連続で最多を更新しています。直近の1週間(11月11日~17日)では、さらに増えて2.84人と最多を更新しており、患者の多い状況が続いています。

 国内では2020年の新型コロナウイルス感染拡大以降、感染対策や人流が減ったこともあってか、感染者は少ない状態が続いていました。新型コロナウイルスが落ち着いて感染防止対策が緩和されたことや、人の移動が多くなったことに加え、しばらく流行がなかったために集団免疫が下がっていたことなどで、大きな流行になったと考えられています。

(2024年11月27日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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