ライドシェアの先鞭をつけたのは米国のウーバーテクノロジーズです。機能はタクシーとほぼ同じですが、①キャッシュレス決済が原則、②受給で値段が変わるダイナミックプライシングを採用、③客と運転手が互いに格付けする相互レビューで、危険運転やカスタマーハラスメントを排除など、デジタルならではの利便性があり支持を得ました。米国のほか中国や東南アジアなどでも、なくてはならない移動の足として定着しています。
日本でも、4月から東京など4地域で、5月以降に大阪や札幌、福岡など8地域でも日本版が解禁されました。他の地域にも導入の動きがあります。コロナによる需要減で、タクシー運転手の離職が進んでおり、需給ギャップが一気に顕在化しました。主要駅や観光地のタクシー乗り場には長蛇の列ができ、タクシーで通院していた人がクルマを呼べず病院に行けないなど、移動難民の問題が深刻化しました。
2種免許を持たない一般の運転手が客を乗せるのは海外と同じですが、日本版では、運転手は個別のタクシー会社と雇用契約などを結び、その管理下で働く必要があります。政府はタクシー会社以外も参入できる法整備に向けて論点整理し、6月をめどに方向性を決める方針です。
(2024年5月27日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)