レアアースとは、地球上に存在する量が少ないなどの理由で希少とされる金属の一部で、ジスプロシウムやネオジムなど17種類の元素の総称です。希土類とも言われ、ごく少量でも素材の性能が大きく向上するため、産業のビタミンとも呼ばれています。
レアアースは1960年代頃から広く使われ始め、ソニーはレアアースを用いることでウォークマンを生み出しました。テルビウムは磁石の材料だけでなく、スマートフォンの画面を鮮やかに発光させる役割も果たしています。ガドリニウムは放射線の中性子を吸収する性質があり、原発で核分裂を抑える制御棒に使われています。

レアアースの生産は多くを中国に依存しています。中国では1980年代から開発を本格化し、レアアースの取り扱いを国有企業に集中させ、政府が管理しやすくしています。他の国では、採掘や精錬の過程で生じる有害物質などの環境対策の費用を賄いきれなかったり、中国の生産拡大による価格競争にさらされたりして、生産から撤退が相次ぎ、中国が圧倒的なシェアを握るようになっています。

レアアースは工業製品に欠かせず世界中で必要とされている半面、供給をほとんど中国に依存する構図によって中国の外交上のカードになっています。現在日本に対する軍民両用製品の輸出規制強化を打ち出しています。家電製品から自動車部品まで幅広い製品に使われているだけに、もし供給が途絶えれば、日本でも多くの業種が打撃を受けることになります。
日本政府は、経済安全保障の観点からレアアースの脱・中国依存を進めようと考えています。海外からの調達に頼らず、国産化を目指す動きもありますが、自給自足の実現はまだ見通せていません。
(2026年2月28日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)





