一般社団法人開設の医療機関の増加

 一般社団法人が運営する病院や診療所は増えています。厚生労働省は、4月から病院や診療所を運営する一般社団法人に対し、都道府県に財務諸表などの提出を義務付けます。一般社団法人は医療法人と異なり、今まで経営実態を行政側が十分把握できていませんでした。一般社団法人は、ファンドなどによる病院の承継や再編でも活用が増えています。営利重視の経営になっていないか監視します。

 事業会社が医療法人の経営権を持つと、利益の外部流出と指摘されるリスクがあるため、一般社団法人を設立して経営に関与するケースはよくあります。また、後継者がいなかったり、経営難に陥ったりした医療機関に対してファンドがお金を出し、事業再生する例もあります。一般社団法人は登記のみで設立できるため、参入障壁が低くなっています。

 ファンドが病院の土地や建物をいったん買い取った後に医療機関に貸すケースもあります。こういったビジネスモデルは、医療法が禁じる営利目的の運営に抵触する恐れがあるとされています。厚生労働省は、病院を運営する一般社団法人について、財務諸表の提出などでまずは透明化を進め、実態把握の第一歩とします。特に美容医療での開設が増加傾向にあります。一般社団法人は医療法人と異なり、理事長が医師である必要はありません。営利を重視した医療が広がる温床になっている可能性があります。過剰な治療や検査をしたり、仕入れ価格が安く病院の儲けが大きい医薬品を偏って使ったりするなどして、利益重視の運営をする可能性もあります。

 医療法人の場合は、医療法に基づき、設立時に都道府県から資産や役員を記した定款などのチェックを受け、認可を得る必要があります。法人として毎年度、事業報告書や財務諸表を都道府県に提出します。施設ごとの損益計算書も作る必要があります。一般社団法人はよりも監視が厳しくなっています。

(2026年3月26日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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