不登校の小中学生が増え続けています。2023年度は初めて30万人を超え、過去5年間で倍増しています。文部科学省の問題行動・不登校調査によると、2023年度に30日以上欠席した不登校の小中学生は、前年度比16%増の34万6,482人で、11年連続で増えています。全児童生徒に占める割合は、前年度から0.5ポイント増の3.7%でした。
新型コロナウイルス禍による生活の乱れや、無理に通学させる必要はないとする保護者らの価値観の広がりが影響した可能性があります。不登校の児童生徒のうち、4割は学校内外の専門機関につながっていません。子どもや家庭が問題を抱えて孤立すれば、不登校の長期化にもつながりかねません。自分のペースで学習でき、支援者らに相談もできる居場所の確保が急務になっています。
文部科学省や自治体は教室以外の居場所をつくるなどし、学習が続けられるよう支援するとともに、不登校の未然防止や登校再開にもつなげています。不登校の要因は多様なため、一人ひとりに合った支援につなげることが大切です。そのためには連携するスクールソーシャルワーカーの配置拡充や、支援を必要とする子どもを識別するスクリーニングの制度などが必要です。
(2024年11月12日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)