国際通貨基金(IMF)は、2024年と2025年の世界の実質経済成長率を、いずれも3.2%と予想しています。世界経済は、物価高を抑えつつ、深刻な景気後退を回避する軟着陸の軌道を維持しているようです。
米国の堅調さが目立っています。インフレ圧力の収まりに加え、低所得層を中心に賃金が伸び、消費が底堅く推移し、企業の設備投資も増えています。2023年が0.4%の低成長に沈んだユーロ圏は、輸出主導で緩やかに回復し、2024年は0.8%成長を見込んでいます。日本は前年に活況を呈したインバウンド効果の息切れなどを反映し、2024年は同0.4ポイント減の0.3%です。中国は、不動産業界の不振や消費の減速により、2024年を0.2ポイント減の4.8%としています。
2025年は米国が2.2%、中国が4.5%と、それぞれ前年から減速する見込みです。一方、金融緩和の効果などで、ユーロ圏は1.2%まで回復するとしています。日本も1.1%まで回復しそうで、米中の減速を一定程度カバーする見通しです。2024年末時点の先進国の平均インフレ率は2.6%、2025年末は2.0%とされ、コロナ禍後のインフレは大きく落ち着くと思われます。
(2024年10月23日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)