政府が、50年後の2060年代に人口1億人を維持するとの中長期目標を設けることにした。政府内に設置された「選択する未来」委員会は、5月中旬に中間報告として提言する予定である。そのためには、高齢者に手厚いこれまでの支援を、いかにして現役の子育て世代に移行できるかが問題となる。
提言は、人口の急激な減少と超高齢化に歯止めをかけることにあり、合計特殊出生率を2060年に2.07以上に引き上げることにも言及している。出生率を改善させるために、年間3兆円規模の出産・子育て支援を行い、高齢者から子どもへ資源配分を移行することなどを提言している。しかし、国の財政状況を考えると、目標実現はかなりの痛みを伴うことになる。
民主党政権が目指した、子ども手当てなどの子どもをもつ家庭への現金給付を行うのではなく、子育てのための保育・教育費、第三子以降の支援などの現物給付を考えるべきである。いずれにしても子育て支援を強化しながら財政を維持するためには、消費増税と歳出抑制を同時に進めなければならない。
(2014年5月4日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)